更新日:2025.12.12

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経理部門で通信費の仕訳や部門別配賦を担当していると、「一通の請求書に複数部門の利用が含まれている」「回線ごとの管理が煩雑」「拠点や契約が増えるたびに仕訳作業が膨大になる」といった悩みに直面しやすいものです。手作業での仕分けや配賦は、担当者の負担を増やすだけでなく、ミスや抜け漏れの原因にもなりかねません。
本記事では、通信費の基本的な定義や仕訳、請求書の受領・計上方法から、実務で避けて通れない「部門別配賦の課題」そして「配賦・請求業務を効率化する最新の管理手法」まで、現場で役立つ知識とノウハウを体系的に解説します。
通信費は、企業の日常業務を支える電話・インターネット・クラウドサービス等の通信手段にかかる費用を指します。経理担当者にとっては、仕訳や部門別配賦など実務運用上のポイントが多く、初めて担当する場合は戸惑うことも少なくありません。
この章では、通信費の定義から具体的な費目、請求書の受け取り方、計上のポイント、そして仕訳時の注意点まで、経理実務で最低限押さえておくべき内容をまとめて解説します。
通信費とは、企業内での業務連絡や外部との情報伝達、業務遂行のために必要な通信手段にかかる費用をいい、電話、インターネット、FAXなどが該当します。主な費目として6つ挙げられます。
| 費目 | 用途 |
| 電話料金 | 固定電話、携帯電話 |
| インターネット接続料 | 光回線、プロバイダ料など |
| 郵便料金、宅配便料金 | 書類送付や業務連絡に関するもの |
| FAX通信料 | FAX送付、受領 |
| クラウドサービス利用料 | 通信機能に関するもの |
| その他通信関連サービス料 | 専用回線、VPNなど |
近年ではクラウドサービスの通信機能利用料やVPN・専用回線費用も対象となるケースが増えています。上記費目は「通信費」の科目となり、会計上「販売費及び一般管理費」で計上するのが一般的です。ただし、クラウド利用料のうち通信機能以外は「情報処理費」など他の科目で処理される場合もあるため、費目ごとの区分には注意が必要です。利用実態や契約内容をよく確認し、費用の分類を誤らないことがポイントです。
通信費に関する請求書は、紙・電子の両方で届きます。紙は郵送で受領し、経理部門でスキャンして電子化する企業が多く、一方で、電子請求書はPDFでメール添付されたり、通信会社のポータルサイトからダウンロードするパターンが主流です。また、Web明細(CSV形式など)を管理画面から取得できるケースも増えています。請求書が到着したら、内容を確認し、発生主義に基づき費用を計上します。
月をまたぐ締日や支払日の違いに注意し、未払計上や前払計上が必要な場合もあります。また、インボイス制度対応のため、適格請求書の保存や電子帳簿保存法の要件(タイムスタンプ、検索性)を満たして保管することも重要です。請求書形式や受領方法によって、計上・保管の運用が変わるため、現場ごとのルール整備が求められます。
通信費の仕訳は、請求書受領時と支払い時で分かれます。たとえば、11月利用分の通信費50,000円が12月に請求書で届いた場合、請求書到着時には発生主義を原則にして仕訳をします。
発生主義とは、現金の受け取りや支払いのタイミングに関わらず、取引が発生した時点で会計上の認識・記録する方式です。実際の支払い時には、請求受領した未払金50,000円を未払金として振替えます。
注意すべきは、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応です。適格請求書の保存、電子データの検索性や改ざん防止など、法令に沿った処理が必須となっています。
<参考>
インボイスの経理処理の方法は?対応のポイントや経過措置も解説
電子帳簿保存法とは?メリットや税制改正による変更などを解説
また、複数部門に関連する通信費は、請求明細や回線番号などで部門ごとに分解し、部門別配賦の仕訳処理も求められます。仕訳ミスや計上漏れを防ぐため、業務フローの明確化と定期的なチェックが欠かせません。
通信費の部門別配賦を行う際、さまざまな実務上のハードルに直面します。一通の請求書に複数部門の利用が含まれるケースや、回線ごとの部門紐づけ作業、拠点の増加や契約変更時の管理負荷、さらには請求書フォーマットや法令対応の複雑さなど、配賦の現場には多くの課題が存在します。これらは、日々の経理業務の負担を増やし、ミスや遅延のリスクを高める要因となりがちです。まずは主な実務課題を整理してみましょう。
通信会社から届く請求書には、複数の回線やサービスがまとめて記載されていることが一般的です。そのため、実際の利用状況に基づき、どの部門がどの費用を負担すべきか細かく分解しなければなりません。この作業は、請求書の明細と社内の利用実態を照合し、各部門ごとに費用を割り振る工程が発生します。
特に部門数や拠点が多い企業では、仕分け作業が煩雑化し、ミスや二重計上のリスクにつながりやすいのが現状です。経理担当者は、限られた時間の中で正確さを求められるため、精神的な負担も大きくなりがちです。
各回線やサービスごとに、どの部門に紐づけるかを管理する必要があります。請求書の明細と社内で管理している回線番号・部門情報を突き合わせる業務は、手作業で行うと非常に手間がかかります。新規回線の追加や利用部門の異動が発生するたびに、マスタ管理の見直しや情報の更新が必要です。
また、管理台帳の更新漏れや情報のズレが発生すると、正確な配賦が行えず、会計データの信頼性も損なわれることになります。日々の小さな変更にも細かく対応する工数が積み重なり、現場の負担となっていることがありがちです。
企業が新たな拠点を開設したり、通信サービスの契約内容を変更した場合、経理部門では配賦ルールや管理台帳の見直しが必要になります。拠点が増えればその分請求書の明細も増加し、各拠点ごとの配賦作業や確認作業も複雑化します。
また、回線やプランの追加・変更が発生するたびに、部門ごとの利用実態や負担割合を再設定する必要があり、作業漏れやミスのリスクも高まります。特に、多拠点展開をしている企業では、こうした配賦業務が大きな労力となり、経理担当者の時間を圧迫する要因となっています。
通信会社やサービスごとに請求書のフォーマットが異なるため、内容の確認やデータ入力作業が煩雑になりがちです。また、インボイス制度や電子帳簿保存法など法令対応への対応が求められる状況では、適格請求書の保存や電子化要件を満たすための追加作業も生じます。
各通信会社から届く請求書ごとに異なるレイアウトや項目を、社内の統一フォーマットに変換したり、法的要件をチェックしたりすることは、経理現場の大きな負担です。標準化が難しい場合、自社で変換や確認の仕組みを整える必要があり、結果として業務効率化が進みにくい状況が生まれています。
実務課題を見ると、通信費は実務において請求処理と部門別配賦の面で手間がかかりがちです。では、どう解決していくかを効率化の観点で説明していきます。
通信費の部門別配賦や請求書処理は、複数部門・拠点を持つ企業ほど煩雑になりがちです。業務にムダが多いと感じている経理担当者も多いと思われます。ここでは、配賦や請求の業務負担を根本から減らし、ミスや手戻りを防ぐための実践的な効率化手法を整理します。最新トレンドを踏まえた仕組みづくりから、現場で即活用できるルール・チェックリストまで、段階ごとに具体策を紹介します。
通信費の配賦作業を効率化するには、電話番号や回線IDごとに部門名を紐づけたマスタを作成し、自動的に配賦する仕組みが欠かせません。請求明細とマスタを突合することで、どの部門の利用かを即座に判別し、集計や仕訳を自動化できます。
Excelや会計システム上でマスタを運用するほか、配賦対象の変更や新規回線追加時も定期的に情報を更新することが重要です。こうした仕組み化によって、担当者ごとの手作業を減らし、配賦ミスや記入漏れも防止できます。特に多拠点・多部門を抱える企業では、この仕組みが業務負荷軽減のカギとなります。
請求書処理が煩雑になる一因は、通信会社やサービスごとに請求書フォーマットや支払タイミングが異なることです。各社にフォーマット統一を依頼する、もしくは社内で統一フォーマットに変換する仕組みを設けることで、データ入力やチェック作業を大幅に効率化できます。
また、支払日や締日をできる限り月に一度にまとめると、経理処理のタイミングが合い、ミスや漏れも起きにくくなります。実際の現場では、フォーマットの標準化が難しい場合もあるため、受け取った請求書を自動で変換するツールやサービスの活用も有効です。こうした工夫によって、経理業務の標準化と業務効率化が同時に進められます。
請求書の電子化と自動取込は、手入力によるミスや作業負担を大幅に削減します。PDFやCSVで受領した集計データを会計システムに直接インポートできれば、入力の手間が省け、内容の確認や差異チェックも自動化できます。
また、電子帳簿保存法に対応した電子保管で監査や税務対応もスムーズに進められます。紙の請求書しか対応していない取引先がある場合でも、一度電子化すれば、全てのデータが同じ基準で管理できるのが強みです。業務負荷を感じている企業ほど、請求書電子化の効果は大きいです。
業務効率化を徹底するには、配賦や請求書処理の手順を明確化し、チェックリスト化することが欠かせません。これにより、担当者ごとに作業品質がバラつくリスクを防ぎ、ミスや手戻りが減少します。
ルールや手順が明確であれば、新任担当者でも迷わず作業できるため、引き継ぎや教育の負担も軽減されます。さらに、業務フローを定期的に見直し、最新の法令対応やシステムに対応することで、継続的な業務改善が可能です。
これらの具体策を実現することで、部門間・拠点間の連携も促進され、全社的な業務標準化へとつなげられるのが大きなメリットです。ただし、実現するには各通信会社へ請求日の変更や部門別集計しやすいための配賦データの提供依頼などを行う必要があります。通信会社側でお客様個々の要望に応じた変更自体は非現実的なので、通信費の請求処理や部門別配賦を外注するのも手段の内です。そこで紹介したいのが、インボイスが提供する、通信費の一括請求サービス「Gi通信」です。
通信費の部門別配賦や請求書管理は、多拠点の企業や複数部門を持つ組織ほど煩雑化しやすい領域です。一通の請求書に複数部門の費用が含まれる場合や、異なる拠点ごとに管理が必要な場合、経理担当者の負担は大きくなります。そこで「Gi通信」は、一括請求・電子化・自動仕訳・適格請求書発行など、実務の手間を根本から解消する仕組みを提供しています。順番に詳しく解説します。
各通信会社からの請求書をいったん受領し、立替払いを実施します。その上で、月に一度だけ統合された電子請求書を発行します。これにより、複数部門・複数拠点の支払業務が一括化され、請求書処理や支払いのタイミングをまとめることが可能です。

経理担当者にとって個別の請求書管理や支払い調整から解放され、支払業務の効率化を実現できます。特に拠点数が多い企業では、毎月の作業時間や確認作業が劇的に削減されるのがメリットです。
「Gi通信」では、請求データに対して「拠点」「部門」「費目」など最大3階層まで名称付与が可能です。これによって、各回線やサービスごとの利用金額を細かく部門別に分類し、Excelデータ形式で整理して提供します。
そのまま会計システムへのインポートや仕訳帳への転記ができるため、手入力や集計ミスを大幅に抑えられます。また、部門別配賦の基準をマスタ管理できるため、回線の追加や契約変更時にも柔軟に対応可能です。多拠点・多部門企業にとっては、管理会計の精度向上と同時に、実務オペレーションの標準化・省力化を両立できるポイントです。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が求められる中、「Gi通信」では適格請求書としての発行が可能です。紙だけでなく電子請求書への完全移行を実現し、請求書受領から保管までをペーパーレス化。紙請求書しか対応していない取引先の分もまとめて電子化できるため、証憑管理や監査対応も安心です。
また、電子帳簿保存法の要件(タイムスタンプ・検索性など)にも対応しているため、法令順守とDXを同時に進められるメリットがあります。経理部門の負担を減らし、業務ミスの防止や働き方改革にもつなげられます。
通信費や請求書の部門別配賦を行う際、実務でつまずきやすい点や、新たなシステム導入時に多くの方が疑問に感じるポイントをまとめました。特に「請求データのグループ名設定」「消費税・非課税項目の明細分け」「紙請求書しか対応していない取引先」などは、業務効率化や法令対応の観点からも頻繁にご質問をいただいています。
はい。可能です。請求データのグループ名設定は、部門別配賦やプロジェクト単位での管理を行ううえで欠かせない機能です。たとえば「本社/営業部/担当者名」といった最大3階層までの名称を柔軟に付与できるため、複数の事業部や拠点がある場合でも、請求書データの分類や集計が容易になります。
発行する請求書には、消費税対象分と非課税分を明細単位で区分して明記しております。そのため仕訳や会計処理時に迷うことがありません。また、インボイス制度や電子帳簿保存法の要件にも対応できる形でデータを受け取れるので、法令遵守や監査対応の工数も削減できます。
弊社では紙の請求書も受領可能です。立替払い後に電子請求書としてお届けするため、ペーパーレス化や電子帳簿保存法対応も実現できます。全体の請求管理をペーパーレスで一元化でき、電子帳簿保存法への対応もスムーズに行えます。
通信費は電話やインターネットなど企業活動に欠かせない費用ですが、仕訳や部門別配賦には多くの手間が発生します。経理部へ配属したての社員でも、通信費の定義や仕訳の基本を押さえ、効率化の方法を知ることで、ミスなくスムーズな処理が可能です。Gi通信の活用で請求書処理や配賦作業が自動化され、経理業務の負担を大幅に軽減できます。基礎知識と効率化の両面を意識し、安心して経理業務に取り組んではどうでしょうか。
通信費の請求書なら「Gi通信」